とものもと《船橋市》
(「月刊ぐるっと千葉」2019年8月号掲載)
※こちらのお店は移転しています。

「醤油らーめん」。本年6月より、これまで、うま味を介添えするために用いていた「ホンビノス貝」を完全に除き、「鶏」をメインに据えた構成へと刷新。「醤油ラーメン」と聞いて食べ手が想起するであろう最大公約数的なイメージを突き詰めていったら、自ずと「鶏清湯」という解に行き着いたという。目指すは、スタンダードでありながら時代の要請にも対応する1杯
人生の全てを懸けて ラーメンを創る。屋号に込められた店主の想い
「ラーメン作りは私の人生の『源』。そして、私の名が『朋宏』なので、屋号は『とものもと』。もう、商売という感覚はありませんね。厨房に立つことは、唯一無二の生きがいです」。 2015年3月に開業したものの、同年7月、体調不良のため休業。休業中にラーメンとの向き合い方を改めて模索した結果、再開時にメニューを一新。客受けにこだわらず、自らが手掛ける味を認めてくれる方々に向けた1杯を紡ぐようになった。鶏ベースの「醤油」と貝ベースの「塩」が定番商品。共にスープの一滴にまで魂が込められた名杯だ。
〈市原朋宏店主インタビュー〉
田中(以下田):今回、「醤油らーめん」と「つけめん」をいただきました。「つけめん」は、ホンビノス貝のうま味が大量に溶け込んだ出汁に麺を泳がせ、その麺を鶏ベースのスープに浸す仕様ですね。他方、「醤油らーめん」にホンビノス貝は使われているんですか。専ら鶏が主役であるような印象を受けましたが。
市原(以下市):実は、今月から「醤油らーめん」のスープから貝を抜きました。『とものもと』と言えば「ホンビノス」という印象が定着していることは承知の上で(笑)。やっぱり、一般的には「醤油ラーメン=鶏清湯」だと思うんです。
田:商売でなく、作りたいラーメンを作るということですか。
市:はい。2015年に開業した矢先、体調不良で休業を余儀なくされたんですが、その時、入院先の病院のベッドで徹底的に考えたんです。「自分にとってラーメンとは何か」ということを。突き詰めた結果、ラーメンは自分が生きる上での源であることを改めて実感。商売のためにラーメンを作るのは止めました(笑)。
田:市原さんご自身の想いを、ラーメンに投影するようにしたということですね。
市:はい。「醤油」は、正統派のビジュアルでありながら今の潮流を採り入れた1杯で、鶏とカツオが主役。鶏は、「名古屋コーチン」の豊潤なコクに魅了され、同種の丸鶏を使っています。逆に、「塩」には鶏を使わず、ホンビノス貝と昆布を主役にしています。
田:なるほど。「醤油」と「塩」とで、スープを完全に作り分けたんですね。今後の抱負があれば教えて下さい。
市:ラーメン職人にとって、麺を自家製で賄うことは大きな目標。もう少し広い物件が見つかれば今の場所から移転し、自家製麺に挑戦したいですね。
田:それは楽しみ!絶対に食べに伺いますね。本日は有難うございました。
とものもと
住所 千葉県船橋市東中山2-3-2東中山ビル1F
営業時間 水・木曜18:30~22:30 土日・月曜11:00~15:00 火曜(『もとのとも』として営業)11:30~14:00、18:30~21:30
定休日 金曜
駐車場 なし(近隣にコインパーキングあり)
お問い合わせ ☎047-333-5572
リンク
▶️ ラーメン官僚 田中一明の月刊ずるっと千葉【アーカイブ】