【連載-いっぴんさん】ホワイト餃子 本店の「ホワイト餃子」(野田市)

【ホワイト餃子(1人前8個、2人前16個)】店内飲食分は優先的にある程度の個数が確保されているものの営業時間が短いのでご注意を。(8個600円)

冷凍/2人前16個800円。現在は生産が追いつかないため、購入に際して個数制限あり。店舗オープン後、1時間足らずで完売してしまうこともあるため、遠方の方は電話で在庫の有無を確認するのがおすすめ(予約不可)

野田にホワ餃あり!
千葉県が誇るご当地餃子の美味しさに迫る

 夕食やビールのお供に。野田市民のいつもの食卓に当たり前に存在する郷土の味。それが「ホワイト餃子」だ。取材時はちょうどお盆前とあって、お土産用や帰省で戻ってくる親族への振る舞い用に〝ホワ餃〟を買っていく人が多く、朝8時の販売から1時間足らずで売り切れとなった。  「まずは餃子だけで食べてみて」と勧めるのは、調理主任の田口寛さん。独特の丸みのある俵形は「どこから食べても餡と皮を食べられるように」と工夫されたもの。パリッとしたきつね色の皮は、咀嚼するほどに甘やかで香ばしい生地自体の味を堪能できる。そこに「秘伝のスパイス」が入った野菜たっぷりの餡のうま味がじゅわりと広がる。なるほど、〝おやつ〟としても地元で愛されているという話に納得である。そのままで充分に美味しい。もちろんタレにつけても。「ラー油に醤油は香り付けに数滴垂らす程度」が田口さんのお勧めだ。  ホワイト餃子は初代、水谷信一さんが戦時中、満州で白さんという中国人から作り方を教わったのが店名の由来だ。1960年に奥様の実家があった野田で食堂「ホワイト」を創業。5年後には食品ロスを出さないという想いからメニューを一本化。餃子専門店になった。その後、2代目の水谷方昭さんが跡を継ぎ今に至っている。  1日1万5千個もの餃子を製造するホワイト餃子。それでも需要に追いつかず、通販は休止状態だ。だが、「味が維持できない」と、今でも餡を包む作業は手作業で行っている。「機械を入れると、作り方を機械に合わせなければならなくなります。ましてや包む人が違うだけで味や食感が変わってくる世界ですからね」。  餃子の皮も妥協がない。「人も素材も生き物」と強調する田口さん。日々の気候、仕入れる粉の状態を鑑みて生地をまとめる。伸している時に振る粉の振り方や量ですら、皮の固さに影響が及ぶため気が抜けない。そして、皮の最大の特徴は、生地を三重に重ね合わせて伸すことだ。油の余分な浸透を防ぐ外皮。小麦生地の美味しさを引き出す中央部、餡のうま味を包み込む内皮。この「三層構造」が冒頭に記した美味しさの秘密なのであった。  「いかに美味しいと思っていただきつつ、安定して作れるか。それが継続できてこそ『これがホワイト餃子の味』だと認知してもらえると思うんです」と語る田口さん。初代からの味を64年以上、途切れることなく守り、作り続けてきた老舗の矜持は、美味しさとなって親しまれ続けている。

(取材・文:沼尻亙司、撮影:織本知之)

1・2・3.ベテランが毎日膨大な数の餡を皮に包んでいく 4.包んだ餃子は約2時間寝かせ、皮を落ち着かせる 5.生地を伸して皮を作る。伸す時に振る粉にも技術が求められる 6.生地の型抜き。切れ端は皮の三層構造の真ん中の皮に再活用される。戦争を体験した初代の食品ロスを出さんとする姿勢がここにもある 7.飲食営業では「焼き」の技術が光る。茹でた後に大量の油を入れて焼き上げる独特の調理法がホワ餃ならではの食感と風味を生む

店名 ホワイト餃子 本店
住所 〒278-0035 野田市中野台278
電話番号 04-7124-2424
営業時間 冷凍餃子販売8:00〜売り切れ迄/店内飲食17:00〜19:00
定休日 水曜・年末年始(店内飲食は土日祝も休み)
WEB https://www.white-gyouza.co.jp/branch/noda.html
販売・お取り寄せ 店舗で販売

※2024年10月号に掲載
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ず事前に公式サイト等でご確認の上、ご利用ください