麺や海心umi《いすみ市》｜【ラーメン官僚 田中一明の月刊ずるっと千葉】

麺や海心umi《いすみ市》
（「月刊ぐるっと千葉」2020年11月号掲載）

※掲載内容は取材当時のものです。営業時間、メニューなどは現在変更になっている場合があります。また、閉店になっている店舗もありますので、ご注意ください。

「特製塩らーめん」。スープは、バランスに細心の注意を払いながら貝、鶏等からうま味の粋を抽出し、厳選した３種の塩を重ねたもの。「ラーメンの味はタレで決まる」をモットーに、特にタレの風味にこだわった意欲作

波乗りの店主が、海の街で自店を開業！刻々と味わい移ろう良杯に感服

「ここいすみ市は、サーフィンのメッカ。私は宮城県の出身ですが、好きなサーフィンを存分に楽しむため、この地に移住してきました。そんな私が、この地で出逢ったのがラーメン。地元の方々に何か恩返しがしたいと思い、今般、ラーメン店を開業させていただきました」。
それが、今回紹介する『麺や海心』だ。『海心』と書いて「うみ」と読ませる屋号は、阿部店主がこれまで、心に海を抱きながら生きてこられたことに対する感謝の意を込めたものだという。
同店の２枚看板は「醤油らーめん」と「塩らーめん」。ラーメン店で修業はしたが、その後７年間業界から離れていたこともあり、味はほぼオリジナルだという１杯は、序盤→中盤→終盤で主役となるうま味が刻々と移ろう複層的な味わい。「一篇の物語のように、スープを最後まで飲み切ることで初めて本当の価値が理解できる。そんなラーメンを創りたかったのです」。
出汁とカエシ。両者が奏でる旋律が快楽中枢に訴えかけ続ける。気が付けば、丼が空っぽになってしまっていた。