中華ソバ篤々 toku-toku《八千代市》
(「月刊ぐるっと千葉」2022年5月号掲載)
※掲載内容は取材当時のものです。営業時間、メニューなどは現在変更になっている場合があります。また、閉店になっている店舗もありますので、ご注意ください。

「生姜煮干しソバ」。「煮干しソバ」と肩を並べる、不動のレギュラーメニュー。「煮干しソバ」が、タレに数種類の濃口醤油を用いるのに対し、この「生姜煮干しソバ」には、白醤油、宍道湖産しじみ出汁等を合わせたタレを使用。出汁感を際立たせることで、生姜の清冽な香味が浮き彫りに。おろし生姜がスープに溶け出すにつれて味わいが刻々と移ろう点も、特筆に値する
食べ手を選ばないスタンダードを日々紡ぐ。真摯な姿勢に深く感銘
「開業当時から、基本は変えずに1杯1杯を作り続けています。スープの味は、仕入れる素材の状態に左右されますが、そのブレを抑え、同じ味を安定的に提供すること。それこそが、自分がなすべき仕事だと考えています」と語る松原店主。
2016年9月に創業し、今や千葉を代表する実力店のひとつにまで上り詰めた感のある同店だが、店主の希望は、自身が手掛けるラーメンを、普通の食事として肩肘張らずに召し上がってもらうこと。実るほど頭が下がる稲穂かな。そんな言葉がピタリと当てはまる真摯な姿勢に感銘を受けた。
〈松原 篤 店主インタビュー〉
田中(以下田):オープン以来、お店には何度か伺いましたが、この『ぐるっと千葉』で、松原さんとお話をするのは数年ぶりですね。前回、話を伺ってから、ラーメンの味や作り方を変えたところはありますか。
松原(以下松):味や作り方は、開業当初から変えていません。うま味調味料や動物系素材を使わないので、入荷される煮干しの状態によって、味はどうしても変わります。放置すれば見過ごせない程度にまで増幅する味のブレをどれだけ最小限に抑え、安定した味を提供できるか。その点を大切にしています。
田:なるほど。歳月の経過によって、錚々たる実力店のひとつだと認識されるようになっても、ご自身のスタンスは変わらない。浮ついたところが全く見られないことに、正直、驚いています。
松:初めて、ラーメン雑誌で賞を頂いたときも驚きましたからね。「どうして自分のラーメンが!? 他にもっと美味しいラーメンを出す店はあるだろう」と (笑)。今でも、その考えは変わっていません。
田:いえいえ、松原さんの煮干しラーメンは「唯一無二」ですよ!様々な店のラーメンを食べ歩いた私でも、煮干しが持つ柔和な滋味をここまで自然に表現した1杯には、なかなか出逢えません。
松:「濃厚」「淡麗」といったラーメン独特の枠で考えず、煮干し等の魚介でスタンダードなラーメンを創っているという感覚なんですよ。お客さんには、ごく普通の食事として召し上がってもらえればと思います。
田:まさに「実るほど頭が下がる稲穂かな」ですね。最後に、今後の抱負を教えてください。
松:用事のついででなく、わざわざ足を運んでくださる方が増えれば嬉しいですね。特に当たり前に遠距離を移動されるラーメンマニアでない一般の方に(笑)。
田:ありがとうございました。
中華ソバ篤々 toku-toku
住所 千葉県八千代市勝田台1-5-27
営業時間 11:00~14:30、18:00~20:00(日祝は11:00~15:00) ※詳細はTwitterで要確認
定休日 月曜、不定休
駐車場 なし(近隣にコインパーキングあり)
お問い合わせ ☎非公開
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