中華そば 亀喜屋
(「月刊ぐるっと千葉」2017年11月号掲載)
※掲載内容は取材当時のものです。営業時間、メニューなどは現在変更になっている場合があります。また、閉店になっている店舗もありますので、ご注意ください。

「ワンタン麺・並」。店主が最も作りたい味を商品化。『出雲屋』で使用されていた鯖節と宗田節をW主役としつつも、昆布でうま味を補完。錦爽鶏のガラ・モミジと豚ゲンコツ・豚足・背脂を合わせた動物系出汁を別に仕込み、魚介出汁の支柱とするなど、随所に仕組まれたギミックを楽しもう。隠し味にパイナップルを用い、重層的なうま味を演出する発想もお見事のひと言。
自分が今作りたい味を追求! 採算度外視の 渾身の1杯に舌鼓
2008年のオープン以来、千葉ラーメン界を牽引し続けてきた作草部の人気店『麺処まるわ』。そんな『まるわ』の店主・石井氏が2016年、自らが作りたい味を提供するために新たに立ち上げたのが、こちらの『亀喜屋』だ。
店主が幼少時から慣れ親しみ、自身のラーメン人生の原点だと語る外房の名店『出雲屋(閉店)』の味をオマージュ。同店のスープに使用されていた鯖節・宗田節をフィーチャーさせることで昭和のノスタルジーを演出しつつも、鶏・豚などを併用し鶏油を添えることで、今でも通用する1杯に仕上げる力量は流石。
〈石井貴啓店主インタビュー〉
田中:本日は、お時間を作っていただきありがとうございます。
石井:よろしくお願いします。
田中:石井さんは、既に功成り名を遂げた人気店『麺処まるわ』の店主でもあります。そんな大御所的なポジションにありながら、昨年、突然『亀喜屋』を立ち上げられました。正直驚きましたよ(笑)。
石井:場所柄、『まるわ』のお客さんは学生が多いんです。若い学生は流行に敏感。なので、あちらではブームをチェックしながら、彼らの好みに則したラーメンを作ってきました。けど、流行り廃りとは別に、自分が本当に作りたい味ってあるじゃないですか。『亀喜屋』を立ち上げたのは、自分が作りたいラーメンを提供するための場所が欲しかったからです。
田中:おお!つまり、この「中華そば」が、表現したかった1杯ということですね。
石井:はい。私は外房の出身ですが、昔、勝浦に『出雲屋』という名店があって、その店の味が、我がラーメン人生の原点なんです。『出雲屋』の味をオマージュしながら、私なりにアレンジを加えたのが『亀喜屋』の「中華そば」です。
田中:『出雲屋』のラーメンは、どんな味だったのですか。
石井:大量の鯖節・宗田節から出汁を採ることによって生まれる和味が特徴です。『亀喜屋』では、鶏油や動物系出汁を加えていますが、鯖節・宗田節は強めに利かせるよう心掛けてます。
田中:トッピングに棒生姜を用いていますが、棒生姜を採り入れたラーメンは、全国的にも中々レアかも知れません。
石井:食味にメリハリを与えたかったので、生姜を使ってみました。棒生姜にしたのは、食べ始めぐらいは、純粋なスープの味を堪能してほしいから。おろしだと、すぐにスープに溶けてしまいます。
田中:1杯のラーメンを作るのに、そこまで考えているんですね。そりゃ美味いわけだ。
中華そば 亀喜屋(かめきや)
住所 千葉県千葉市若葉区上泉町616-4
営業時間 11:00~スープ終了次第閉店(17:00頃目途)
定休日 月曜(祝日の場合翌日・不定休あり)
駐車場 無料(25台)
お問い合わせ ☎043-312-0081
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