魚介醤油らーめん 和屋
(「月刊ぐるっと千葉」2018年8月号掲載)
※掲載内容は取材当時のものです。営業時間、メニューなどは現在変更になっている場合があります。また、閉店になっている店舗もありますので、ご注意ください。

「らーめん」。スープは、千葉県(九十九里産)と香川県(伊吹産)の煮干しに昆布・椎茸・豚背脂を加え、3時間かけて煮込んだもの。すすった瞬間、口内を大量の煮干しが泳ぐかのようなフルボディの味わいが持ち味だ。合わせる麺は『草村商店』の中細。スープを雄々しく持ち上げる牽引力と、唇を撫でるようなソフトな食感とを併せ持つ不朽の名品だ
煮干しの魅力を徹底追求!実直な1杯から垣間見える引き算の美学
「スープづくりには悩みましたね。色々な素材に手を出し、目指すべき方向を見失いそうになった時期もありましたが、ある時期にふと、手放すことも大切だと気が付いたんです。余計な素材を丹念に削いでいった結果、完成したのが今の味です」と店主。
現在のスープは、千葉県(九十九里産)と香川県(伊吹産)の煮干しが不動の主役。「毎朝8時から3時間かけてスープを炊いてます」。用いる煮干しの分量も、以前よりも大幅に増やした。力強さと躍動感を兼ね備えた煮干しの味わいは、地道な引き算がもたらした成果だ。
〈大久保和仁店主インタビュー〉
田中(以下田):本日はよろしくお願いします。今回ラーメンをいただいて、心底驚きましたよ。オープン当初の味は、修業先(『海空土』)に近かったような気がしますが、今や別物ですね!完全に『和屋』独自の味になっていました。
大久保(以下大):ありがとうございます。確かに、麺と油に用いるカメリアラードを除けば、オープン当初と同じ要素は皆無ですね。様々な素材に手を出し、スープのうま味をどんどん足していった時期もありました。ところが、素材を増やせば増やすほど、思惑とは裏腹に、味から主張が消えていくんです。円くなっていくというか。
田:一般的に、うま味の種類が増えれば、その分、インパクトは弱くなっちゃいますからね。突出した部分から生まれるのがインパクトですから。
大:はい。そこで、思い切って発想を切り替え、出汁に使う素材の種類を徹底的に絞り込むことにしたんです。
田:発想を足し算から引き算へと転換させたわけですね。
大:はい。結局、ラーメンスープの素材として残したのは、千葉県と香川県の煮干しに昆布と椎茸だけ。ほぼ魚介オンリーですね。
田:カエシにも工夫を施されているのでしょうか。
大:もちろんです。半年ほど前にいい醤油と出逢い、一目惚れ。この醤油のおかげで、風味が飛躍的に良くなったような気がします。
田:なるほど。カエシの風味は、ラーメンの良し悪しを左右する重要な要素ですからね。
大:煮干しと醤油とがプラスに作用し合い、インパクトのあるうま味を築く。そんな1杯が今の私の理想ですね。
田:バッチリ、理想どおりの1杯になっていましたよ!ありがとうございました。
魚介醤油らーめん 和屋(かずや)
住所 千葉県佐倉市上座1185-4
営業時間 11:00~16:00(土日祝は~20:30)
定休日 火曜
駐車場 無料(3台)
お問い合わせ ☎090-7946-5056
リンク
▶️ ラーメン官僚 田中一明の月刊ずるっと千葉【アーカイブ】