三つ由《松戸市》
(「月刊ぐるっと千葉」2023年9月号掲載)
※掲載内容は取材当時のものです。営業時間、メニューなどは現在変更になっている場合があります。また、閉店になっている店舗もありますので、ご注意ください。

「三つ由の中華そば(醤油)」。コンセプトは、45歳から70歳くらいまでの人に美味いと感じてもらえる1杯。鶏と煮干しの在処が分かる素材感豊かなスープは、華やかなうま味と落ち着いた滋味を兼ね備え、洗練と朴訥が同居。『浅草開化楼』から取り寄せたしなやかな平打ちストレート麺も、スープと水魚の交わりを演ずる。白胡椒を途中で投入すれば、体感的なうま味が飛躍的に上昇
夫婦二人三脚。中高年に刺さる地に足のついた1杯は垂涎の味わい
「これまで散々、普通でないラーメンを作ってきたからね。今回は、普通のラーメンを究めたい」。そう言って笑う三浦店主は、創作麺の伝説的名店『ajitoism(都内)』を創業し業界をけん引してきた、超ビッグネームだ。今般『ajitoism』を畳み、三浦氏が新天地で紡ぐのは、店主と同じ中高年世代の琴線に触れる、絵に描いたような中華そば。こだわりは、麺、スープ、トッピング等、ラーメンを形成する全ての要素を丼の中でマリアージュさせること。ラーメンの形は変わっても、やはり名手は名手。その味わいは、やはり垂涎ものだった。
〈三浦 康弘 店主インタビュー〉
田中(以下田):この度は、開店おめでとうございます。三浦さんとは、前の店である『ajitoism』の頃からの付き合いになりますが、まさか、『ずるっと千葉』の企画で取材することになろうとは(笑)。どうして、今回、馬橋にお店を出されたのですか。
三浦(以下三):馬橋は奥さんの地元なんですよ。齢50を過ぎ、私も第二の人生も考えていかないと(笑)。
田:なるほど。このお店で提供している中華そばは、前の店で出していたバリバリの創作麺とは真逆の超正統派ですよね。驚きを禁じ得ませんでした。
三:実は私、あんな創作麺を作っていながら、ラーメンの真髄は「醤油」にあると思っているんです。『ajitoism』での15年間で、嫌というほど普通でないものを作りましたから(笑)。今回は、普通に挑戦してみたかった。何がラーメンにとっての「普通」なのかをじっくり考えながら。
田:この1杯に対するこだわりポイントを教えてください。
三:素材が何なのかが食べる人に分かるラーメン、麺・スープ・トッピングが丼の中で一体となったラーメンを作ることを心掛けています。個と個をマリアージュさせたときに生まれる全体の味をみること。これは本当に大切です。
田:今後の抱負などはありますか。
三:年齢を重ねた中高年世代が、この味を求めて店を訪れてくれるようなラーメンを作り続けていきたい。最近、とみに実感するのが「ラーメンを世に出したい」という意識が前に出過ぎた作り手が多いこと。それだと、歳月の経過に耐えられる味はできない。私は、地に足のついたラーメンを黙々と作っていきたいと思います。
田:そんな考え抜いた1杯が1,000円以下!このご時世において、破格じゃないですか。
三:今は原料に妥協している部分があるのも事実ですが、そもそもラーメンは他の料理店と違って15分で退店できる。回転が速いので値段も安くて良いのです。
田:その発想はなかった。目から鱗です!
三つ由(みつよし)
住所 千葉県松戸市西馬橋蔵元町186-2
営業時間 11:00〜14:00
定休日 火曜
駐車場 無料(2台)
お問い合わせ ☎なし
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