鶏白湯らぁめん 笹本爲次郎商店《千葉市稲毛区》
(「月刊ぐるっと千葉」2023年11月号掲載)
※掲載内容は取材当時のものです。営業時間、メニューなどは現在変更になっている場合があります。また、閉店になっている店舗もありますので、ご注意ください。

「鶏白湯塩ワンタン麺」。鶏が持つ等身大の魅力を余すところなく表現した白濁スープは、口当たり優しく、食感きめ細やかでありながら、味蕾に接触した瞬間、身体中の細胞の活力が漲るかのような滋味深さを持ち合わせる。中華の名手ならではの超絶技巧で創り上げた肉厚ワンタンや、この1杯のために名門製麺所『浅草開化楼』へと特注した麺の完成度も、他の追随を許さない
中華の大御所が人生を懸けて紡ぐ渾身の1杯!魂宿る味わいに感動
「私も61歳。さほど長くない残りの人生を懸けて、自分が納得できるラーメンを作りたい」。
そう語る蔭山健一店主は、全国の錚々たる中華の名店の料理長を歴任し、2009年から『自由が丘蔭山樓』の総料理長を務め上げた、料理人界のレジェンド。そんな生ける伝説が千葉に居を構え、新店舗を開業したのだ。これは、2023年のラーメン界においても指折りのビッグイシューだろう。「今、人生で一番やりたかったことをやっています」と笑う蔭山氏。そんな同氏の所作は、まるで少年のように活き活きと輝いているような気がした。
〈蔭山 健一 店主インタビュー〉
田中(以下田):この度はよろしくお願いします。この『ずるっと千葉』の取材でも、蔭山さんに師事された方々のお店を何軒も取材してきました。まさか今回、蔭山さん本人とお話ができるとは!大変光栄です。
蔭山(以下蔭):こちらこそ、田中さんとお話しすることができて嬉しい限りです。
田:ありがとうございます!では、最初の質問を。このお店の屋号の由来を教えてください。普通、『蔭山健一商店』になると思うのですが…。
蔭:「笹本爲次郎」は祖父の名前で、その名をお借りしました。
田:なるほど、私の周りでも疑問に感じている方が多かったので伺いました。それにしても、蔭山さんのバイタリティは凄いですね。60歳を過ぎて、新たに店を開いてしまうのだから。
蔭:人生で残された時間がそう多くない中で、自分がしたいことであるラーメン作りを究めたいと思ったのです。この店で提供する1杯を開発するに先立ち、ラーメン学校の『食の道場』にも通いました。
田:蔭山さんほどの方が『食の道場』で再修業されたんですか!
蔭:いえいえ、私は生粋の中華畑の人ですから。『食の道場』では、ラーメンの作り方のイロハを学ぶことができ、非常に助かりましたよ。
田:まさに「実るほど頭が下がる稲穂かな」ですね。感服します。
蔭:これまで、ラーメン作りに関しては全くの自己流でしたから(笑)。今、自分の人生で一番やりたかったことができていると実感しています。
田:最後に、今後の抱負をお願いします。
蔭:一生懸命仕事をし、遊ぶときは遊ぶ。そんな生き方を貫いていこうと思います。また、私がこの店に立ち続けることで、私と同世代の人達に「60歳を過ぎても、その気にさえなれば店だって出せる」ということを伝えたいですね。あ、あと、上品な「ニュータンタンメン」を作ってみたいかな(笑)。
田:これからも期待しています!
鶏白湯らぁめん 笹本爲次郎商店
住所 千葉県千葉市稲毛区小仲台1-6-21
営業時間 11:00〜15:00(LO14:30)、17:00〜21:00(LO20:30)
定休日 水曜
駐車場 なし(近隣にコインパーキングあり)
お問い合わせ ☎なし
リンク
▶️ ラーメン官僚 田中一明の月刊ずるっと千葉【アーカイブ】