中華蕎麦 円雀《市原市》
(「月刊ぐるっと千葉」2025年1月号掲載)
※掲載内容は取材当時のものです。営業時間、メニューなどは現在変更になっている場合があります。また、閉店になっている店舗もありますので、ご注意ください。

「テビヤマぶしSoba醤油」。2021年に一度商品化したが、出来映えに納得がいかず封印。封印中、出汁を採る鰹節・煮干しの分量を大幅に増量。煮干しは一番出汁のみを惜しげもなく用いる等のリニューアルを施すことで、従来よりも格段に訴求力のある味わいを創り出すことに成功。本年11月、晴れてレギュラーメニューへと返り咲いた。穏やかさと力強さを合わせ持つ渾身の力作だ
圧倒的な滋味に感服!「手火山節」の魅力を丁寧に引き出した良杯
「千葉に『手火山式』で節を作るお店があると知り、小躍りしましたよ。これこそ求めていた素材だと直感し、産地の館山に急行しました。運命の出逢いってあるんですね」。「手火山式」とは、節を作るときに燻製させる伝統的な製法で、節に当たる熱量を手で確かめながら調節するのが特徴。
そんな「手火山式」で作られた節を贅沢に用いた「テビヤマぶしSoba」は、体液のように身体中に染みわたる圧倒的な滋味が鮮烈な印象を刻印。煮干しを加えインパクトのある食味を演出するなど、ベテラン職人ならではのギミックも光る。
〈田中 保 店主インタビュー〉
田中一明(以下一):よろしくお願いします。お会いするのは2023年6月の訪問以来、2年半ぶりになりますか。最初に私が取材したのは、まだ『円雀』がちはら台にあった頃でしたね。懐かしい(笑)。あの頃は、今回戴いた「テビヤマぶしSoba」も、まだありませんでした。
田中保(以下保):はい。「テビヤマぶしSoba」は、こちらに移転してから開発した商品です。
一:開発経緯をお伺いしてもいいですか。
保:そろそろ『円雀』ならではの1杯を作りたいと、あれこれ考えていた頃、館山市の『吉田商店』さんが「手火山式」という伝統的な製法で節を作っているという情報を入手したのです。「あ!これこそ私が求めていた素材だ」と直感し、急いで館山市に駆け付けました (笑)。
一:運命の出逢いだったわけですね。
保:はい。「テビヤマぶしSoba」には「手火山式」で作られた鯖節と鰹節を使わせて頂いています。あとは、煮干し・昆布・椎茸ですね。ラーメンらしさを演出するため、油は鶏油を使っています。
一:節だけだと、パンチが弱くなってしまいますからね。
保:仰るとおりで、それが気になって一度メニューから下げました。で、出汁を採る鰹節や煮干しの量を調整。この度ようやく納得がいく出来になったので、この11月にレギュラーメニューに復帰した次第です。
一:なるほど。確かに、試行錯誤の跡が垣間見える、穏やかさと力強さが見事に同居したスープでした。ところで、「魚介の黒アヒージョまぜSoba」という商品も提供していますよね。これは、どのような経緯で誕生したのですか。
保:県が、県内の農林水産物の魅力をアピールできる料理「アヒージョ」に、千葉県民が愛する醤油を加えた「黒アヒージョ」をPRするため「黒アヒージョ料理コンテスト」を開催しているんです。私もそのPRのお手伝いをしようと、この商品を開発したというわけです。
一:千葉の食材の魅力が凝縮された1杯
というわけですね。次回は是非、賞
味させていただきたいと思います。
中華蕎麦 円雀
住所 千葉県市原市君塚3-4-6
営業時間 11:00〜14:30、18:00〜21:00
定休日 水曜
駐車場 無料(4台)
お問い合わせ ☎070-7483-5409
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