断崖に刻まれた、地球の時を刻む自然の教科書「屛風ヶ浦と地質年代境界」
千葉県銚子市・旭市にまたがる屏風ヶ浦(びょうぶがうら)は、全長約10km、高さ40~60mに及ぶ迫力の海食崖で、「東洋のドーバー」とも称される景勝地です。

断崖を構成する地層は新第三紀鮮新世から第四紀更新世(約300万~40万年前)に亘り堆積した犬吠層群、その上に香取層や関東ローム層が不整合に重なる複雑な構造で、隆起や侵食の歴史がそのまま読み取れます。

特に注目すべきは、鳥吠層群名洗層を含む地層に2.5百万年前のテフラ層が認められる点で、第四紀と新第三紀の境界が露出する希少な地質露頭とされています。このテフラ層や微化石、古地磁気などから、約772,000年前に起きた地磁気逆転(マチュヤマ・ブルンヘス反転)を示す証拠も得られており、地質学上世界的にも重要な場所となっています。

崖の岩質は軟らかく波の作用で年約1m後退を続けており、1960年代以降の消波ブロック設置など人為的な侵食対策により、その速度は抑えられていますが、未だに侵食は進行中です。


屏風ヶ浦は、地層の連続性が見事であり、地質年代境界を目で追えるリアルな教科書そのもの。訪れる人は太平洋の絶景を楽しむだけでなく、地球の歴史を直に感じることができます。地質学や自然史に興味のある方にはもちろん、ダイナミックな自然美を求める全ての人におすすめしたいスポットです。













