
【ちばミルク】オリーブハウスのアイス班29回もの試作を経て完成させた添加物不使用のミルクアイス。生クリームや卵も使わず、八千代牛乳の風味を最大限活かした味わいに仕上げた。直売価格90ml300円。要冷凍。オリーブの樹ではちばミルク以外にも、これまでも製造してきていたルフトアイスやクッキーなどの販売も行っている
千葉県産素材の風味と特性を活かした無添加ミルクアイス
アイスの名は単刀直入に「ちばミルク」。実際に食してみて、そして原料や作り手の思いに関心を寄せれば、潔いそのネーミングに納得がいく。ひと匙アイスを口に運べば、ふわっと漂うクセのないミルクの香り、そしてコク。ほんのりとした甘さはあくまでも控えめで、ミルクの風味の良さが第一印象として記憶に残る。 「いい素材だからこそです」と、その味に太鼓判を押すのは、このアイスを手掛ける「社会福祉法人オリーブの樹」で製造現場を統括している藤野彰太さん。牛乳は周辺地域でお馴染みの「八千代牛乳」を使用。殺菌方法を75℃15秒に抑え風味を活かした、千葉北部酪農農業協同組合の定番商品だ。さらに、無添加食材を扱う「千葉産直サービス」や「八十八研究所」の協力を得て、千葉県産の米粉を導入。アイスは状態を安定化させるために添加物を加えることが一般的だが、米粉を使うことで無添加アイスを実現した。そして、このアイスの作り手が、オリーブの樹の障害福祉サービス事業所、オリーブハウスの利用者の皆さんである。 「よし! じゃあ次行きましょうか」「うん、OKで〜す! じゃあ原料を混ぜちゃいましょう」…声の掛け合いは明るく、工房内は風通しの良い雰囲気。無機質な生産ラインというような印象はまったくない。「命令ではなく、コミュニケーション。ありがとうの気持ちですよね。仕事は楽しいと思ってくれた方がいいじゃないですか」と、藤野さん。皆、障がいがあるとは思えないほど、計量から攪拌、洗い物に至るまで、実に慣れた手つきで正確に且つ丁寧にこなしていく。「僕よりもずっと前から、十年以上やってこられてきた人たちばかりなんです」。実は、2001年からアイスの製造を開始していた。 対面販売をモットーに、利用者の皆さん自らアイスを携えて各所に赴き、消費者との信頼関係を築いてきた。だが、コロナ禍によりその機会が奪われる。なんとか売上を維持したいと模索する中で、先に紹介した企業や組合との農福連携が実現。「素材が良いからこそシンプルで無添加なものを」という思いからスタートした新しいアイス開発も、当初は失敗の連続だったが、2022年、遂に商品化に漕ぎ着けた。「一生懸命な仕事を通じて、様々な企業さんと連携して、地域と繋がって、皆が生き生きとしていけたらいいですよね」。そうした思いが、いろいろな人たちをこれからも笑顔にしていくに違いない。
(取材・文:沼尻亙司、撮影:織本知之)

1.この千葉県産米粉が無添加アイスを実現させた 2.八千代牛乳と米粉をミキシング 3.脱脂粉乳やグラニュー糖の計量作業もお手のものだ 4.原料を混ぜ合わせてアイスクリームミックスを作る。加熱殺菌は風味を損なわないよう低温殺菌で行う。開発の際、この温度と時間のバランスに試行錯誤した 5.アイスクリームミックスを攪拌しながら冷却。滑らかさを出す 6.フリージング後の状態 7.最終段階の充填まで手際よく作業が進められる
住所 〒262-0001 千葉市花見川区横戸町786-4
電話番号 043-216-8211
営業時間 8:30〜17:30
定休日 土日祝
WEB https://www.olivehouse.org/
販売・お取り寄せ 上記の他、FOOD STORY こころび、千葉市民会館内ショップ秋桜などで販売、webショップで受付
※2024年8月号に掲載
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