
現在スリラービーチで醸造しているのは「大漁エール」「極東マリブより愛をこめて」「サンセットサーフマン」の3種。各330㎖瓶650円、及び700円。ブルワリー併設のビアバーで注ぎたてを味わうのもおすすめ
勝浦という街の驚きと喜びをおいしさにのせて
日本三大朝市に数えられる勝浦朝市が開かれる通りからすぐ近く。元パチンコ店だった場所を改装し、今年1月にブリューパブとして営業を開始したのが「スリラービーチブルワリー」だ。 「地元の漁師さんもよく来てくれますよ」と話すのは、ブルワー兼店主の笠倉大二郎さん。「ビールでこの街、勝浦を表現したい」と語る通り、それぞれのビール名には勝浦の魅力が表現されているのが特徴的である。 「漁師さんへのリスペクトを込めた」という〝大漁エール〟はスリラービーチのスタンダード。小麦を使ったペールエールで、日本人にも馴染みが深い、ドライでライトな喉越しだ。一方、勝浦のサーフポイントから名付けられた〝極東マリブより愛をこめて〟は、乳糖を加えた「Milk Shake IPA」と呼ばれるビールで、メロンのようなまろやかな甘さが香る。シックな苦味が印象的な〝サンセットサーフマン〟は、サーフィンの世界大会が行われた実績のある部原海岸の夕暮れをイメージして醸造されたもので、赤みを帯びた黄金色がなんとも美しい勝浦生まれのビールである。現在、瓶ビールとしての商品化も進めていて、部原のサーファーの方にラベルのデザインをお願いしているそう。 笠倉さんは元々、都内で包装資材メーカーに20年以上勤めていたが、ゆくゆくはものづくりの経験を活かし、起業したいと考えていた。そんなある日、山梨のワイン工場へ見学に訪ねた際、製造業に携わる者としてシンパシーを抱いた。さらに近所でブルワリーができたこともあり、ビールづくりを決意して独立。醸造の学習を重ね、昨年11月に醸造免許の取得に漕ぎ着けたのだった。そして場所は「幼少期から海水浴で家族と来ていた」勝浦に。実は、大人になってからもサーフィンをしによく勝浦に来ていたのだそうだ。 ブリューパブからガラス越しに見える醸造所では現在、450リットルタンク3基でビールを醸造する。「作りたいものを作れる自由なところが難しくもあり、面白いところ」という笠倉さん。そのフリーハンドなものづくりで伝えたいのは「勝浦という街の驚きと喜び」。その想いを「スリラー」という店名に込めた。「ビールは最初の〝乾杯〟で飲むじゃないですか。カジュアルでイベントにも馴染む親しみやすさがある。だからこそ、人と人を繋ぎやすいのかなと思うんです」。ビールのおいしさから、この街と人の魅力に思いを馳せたい。
(取材・文:沼尻亙司、撮影:織本知之)

1.リューパブでは注ぎたてを味わえる 2・3.カウンター向こうの窓越しには醸造所が広がる。ものづくりのライブ感を味わいながらビールを味わうのもいい。なお、麦芽の搾りかすは農家に引き取ってもらい堆肥として活用してもらっている 4.瓶詰めやラベル貼りも手作業で行われている 5.開放感あるブリューパブ。スリラービーチのクラフトビールはもちろん、世界各地のクラフトビールも味わうことができる
住所 〒299-5234 勝浦市勝浦11-1
電話番号 0470-64-4560
営業時間 15:00〜19:00(土曜は14:00~19:00)※第2・4日曜は勝浦マルシェに出店
定休日 日・月・火・水曜
WEB https://tbbrew.net/
販売・お取り寄せ ●販売箇所/店内での販売のほか、太東屋酒店で販売 ●お取り寄せ/webショップで受付
※2023年7月号に掲載
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